…改めて、改めて考えてみる。

キノコについて。

…唐突に、日常生活で、インタビューみたいに。

キノコについて知っていることを挙げよ、と言われたら、なんて答える?

…やべぇ。俺、「食べたら美味しいです」くらいしか言えないと思う。

シイタケ…美味いよな。

…って、それじゃあレポートにはならないんだってば。

キノコの美味しさについてレポート20枚も語ってたら、それはもう生物の研究レポートじゃない。

ただの食レポじゃん。

他に…キノコについて知ってること…。

「…寿々花さん、キノコについて何か知ってる?」

「私、キノコ嫌い」

「…そうだった…」

身も蓋もない。

キノコ嫌いな人に、キノコについて知ってることを尋ねた俺が馬鹿だった。

つーか、キノコ嫌いだって言ってるのに、これを研究テーマにして良いのか?

またテーマを変えるか…?

いや、無駄だな。

今更またテーマを変えても、今と同じことをループするだけ。

結局知らないことだらけなんだから、レポートにするには、それなりに調べなきゃならない。

問題は、研究テーマをどうするかではなく。

如何にして、その研究テーマを調べるかだ。

…って、何で俺が他人の課題を、こんなに真剣に考えてるんだ?

既に寿々花さんの課題じゃなくて、俺の課題と化してる。

あぁ、もう気にするな。そんなことは。

「調べ物と言えば…やっぱり…図書館に行くしかないよな」

新校舎の、あの大きな図書館に行けば。

キノコについての本、なんてのも置いてあるんじゃね?多分。

そこで、ありったけキノコに関する資料を調べて…。

「でも、図書館で本を探して、読んでる暇があるかな?」

「あ、そうか…」

普通の調べ物ならそれで良いけど、今回は時間がないからな。

悠長に文献を探して、ましてやそれを熟読している時間はない。

一冊二冊なら、手分けすれば読めるかもしれないが。

それ以上になると、とても手に負えない。時間がない。

もっと手っ取り早い手段が必要だ。

え?急がば回れだろうがって?

急いで遠回りしても、ゆっくり真っ直ぐ走っても、時間外にゴール出来なかったら意味ないんだよ。

だったら、せめて出来るだけ急いだ方が良いだろ。

「こんな時の為に、文明の利器…ネットで調べる、という方法を取りたいところだが…」

「ねっと?」

「パソコンで調べるんだよ」

最終奥義、ウィキ●ディア丸写し。

でも、これは諸刃の剣である。

提出期限には間に合うと思うけど、後でバレた時に、それ以上に恐ろしいことになる。

よって、この方法は排除だな…。

他に、何か良い方法がないだろうか。

すると、寿々花さんが。

「ねぇねぇ、悠理君。本で調べるより、実際に目で見た方が早いんじゃないかな?」

と、提案した。

…実際に、目で見る?本で調べるんじゃなくて?