ため息をつきながらも、のんびりと朝の準備をする。

そろそろ家を出ようかというところで、玄関のチャイムが鳴った。


この時間は、きっと……。

チャイムの主を確認することもなく、玄関を開ける。


「おはよー、芙結。学校行こ!」

「おはよう、瑞貴」


やっぱり。

いつも通り、元気な声でニコニコと笑う顔を見て、ホッと安堵の息をつく。


「あれ?なに?芙結、なんか疲れてる?」


玄関の鍵をしめて、瑞貴の隣に並ぶ。


「あ、そう見える?うん……、今日から、パパと直子さんが新婚旅行に言っちゃって……。新しいお兄ちゃんとふたりきりなんだよね」

「え!?あの、例の赤い糸とかいう人……?」

「そう。私、あんまり好かれてないみたいで」