不器用な神野くんの一途な溺愛

「え、あれ? 莉子ちゃん? ちょっと、なんかさっきより顔が赤いけど、大丈夫?」

「は、はは.......」

「.......」


下手くそな愛想笑いを、希春先輩はどう見ただろう。

希春先輩に、どうか気づかれませんように。

どうか、神野くんのキスの相手が、私だとバレませんように.......!


心の中で祈っていると、希春先輩が「そういえば」と、何かを思い出したようだった。


「今日って、莉子ちゃんの初陣だったよね?」

「!!」


その言葉で顔を更に赤くした私を、希春先輩は「黒」と見たらしい。

希春先輩の驚いた顔が、私の目に鮮明に飛び込んでくる。

私は私で、こんな私を見られたくなくて、ドアから離れて、走って逃げた。


いや、逃げようとした。

でも、


バタンっ


目はグルグル回って、頭はグワングワン揺れて、呆気なく倒れてしまった。