恋は秘密のその先に

「真里亜、すごい荷物だな」

 両手いっぱいに紙袋を持って現れた真里亜から、文哉は急いで荷物を受け取る。

「ふう。思いがけずたくさん持って来ちゃいました」

 そう言って笑うと、真里亜は早速文哉に尋ねる。

「副社長、夕食は?」
「まだだ。何か適当に頼もうかと思ってたところで」
「それなら、私が用意してもいいですか?」
「え? 用意って、夕食を?」
「はい。温めるだけなので、少し待っていてくださいね」

 真里亜は持って来た紙袋を全て給湯室に運ぶと、中から鍋を取り出して火にかける。

 家で作ったすき焼きを、鍋ごと持って来ていたのだった。

 その間に、いくつか食材を冷蔵庫にしまう。

 鍋が程良くグツグツすると、副社長室のソファテーブルに運んだ。

「おお、いい匂いだな」

 文哉はパソコンの手を止めて、いそいそとソファにやって来る。

「じゃあ、食べましょうか。今年最後のお食事が、私の作ったものでごめんなさい」
「何を言ってるんだ。最高に贅沢な食事だよ」

 真里亜は嬉しさに微笑むと、どうぞと文哉を促す。

「いただきます」

 目を輝かせて食べ始めた文哉は、うん!美味しい、と真里亜に笑いかけた。

「良かったです」

 真里亜も微笑んで、二人でゆっくりと今年最後の夕食を楽しんだ。