【短編】メルティングギフト

待ちくたびれたのか、迷子になった我が子を見つけた時のような台詞が出てきた。

いつも使っているトイレが混んでいて、少し時間がかかったとのこと。

体調を崩したわけじゃなくて良かった。



「先輩こそ、なんでここに?」

「スマホ、家に置いてきちゃって。もし急用の連絡入れても繋がらないから迎えに来たの。ごめんね、今朝返事できなくて」

「いえ、大丈夫ですよ。僕が出てくるまでずっと待ってたんですか?」

「……」



数秒沈黙を置いて静かに頷くと、彼の口からふふっと笑い声が漏れた。


笑ってるけど、内心気が気でなかっただろうな。

それに待ち伏せは立派なストーカー行為。親しい間柄でも度が過ぎれば罪となる。

もし久代くんが現れなかったらと思うと……。



「ちょっと騒がしくなってきましたね。お弁当取ってくるので先に行っててください」

「うん、わかった」



暴走を止めてくれてありがとう。


教室に戻る彼に心の中でお礼を呟き、昇降口へ。

靴を履き替えて校庭に移動し、先客がいないかを確認して中に入った。