【短編】メルティングギフト

いつまで経っても教室から出てこない。


授業終わってダッシュで来たけど、もう先に行っちゃったのかな。それとも何かあったのかな。

あぁ、どうして今日に限ってスマホを忘れてしまったんだよ私は。

自分から誘っておいて返事の1つもよこさないって、こんなの横暴にも程があるでしょ!


いっそのこと教室に押しかけようか。


でも怪しまれるよね。いてもいなくても。両手、お弁当と水筒持ってるし。

かといって放送で呼び出すと、先生のお昼ご飯の時間を奪うことになるもんな……。


奇異の目で見てくる通りすがりの生徒達をよそに、1人突っ立って考え込んでいたら。



「あの……」



突然耳元で声がして、心臓がバクンと大きな音を立てた。



「わぁぁぁ! ち、違うんです! 決して怪しい者では──」



弁明しながら振り向くと、そこにはずっと会いたかった人が目を丸くして立っていた。



「久代くん……! もう、どこ行ってたの!」

「え、どこって、トイレですけど……」