付き合うようになって気をつけたことは、和也に彼より私の方が好きの度合いが少ないと思わせることだ。これは私には難しいことだけれど、和也を私の元に留めておくためにはどうしても重要なことだった。

 和也の悪い癖。
 それは。
 相手の心が完全に自分のものになったと感じたら目移りをする、ということだった。

 私はこの和也の性癖に苦しんできた。私が二度も和也を殺したのは、和也が浮気をしたからだ。それも一度なんかではない。何度も何度も浮気を繰り返す和也を手に入れるため、私は和也を殺したのだ。

 だから今回はなかなか心が読めない女を演じなければならない。和也には本心を悟られないよう、なるべく素っ気なく。

 大丈夫。和也の心を繋ぎ止めておけばあんな結末にはならないのだから。