人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

「よいしょっと」



「いや、何で座んだよ」



そばから離れようとしない夏実に動揺するが、

夏実はお構いなしに話を続ける。



「お母さんがね、もし仁くんに会ったら、家に帰ってくるように伝えてほしいって」



「はぁ?」



「仁くんに謝りたいんだって」



「謝りたい?」



何を謝りたいのか一切、

分からずに推測が始まる。



今までの母さんの考えが間違いだと気づいたのか。



それとも僕の頬を打ったことに対して謝罪したいのか。



いや、そう言っておいて、

僕を家に帰らして説教をする気なのか。



どれなのかわからないまま、

僕の心は騒めいていた。