人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

自分を落ち着かすことなんてできなくて、

モヤモヤが次第に膨れ上がっていくだけ。



僕は考えるのが嫌になって、

空を見るようにして寝転んだ。



「こんなところで何してるの?」



突然、視界に映り込む女性を見ては、

飛び跳ねるように身体が起き上がった。



さっきまで考えていたことなんて、

消し去るぐらい。



ただ僕の目は点になっていて、

目の前にいる彼女を見つめていた。





そう夏実のことを……。



「驚かすなよッ!」



「ふふ、だってこんなとこで寝転んでるから」



満面の笑みに騙された僕は、

夏実が僕のことを心配してくれていたなんて知らない。



「ほっとけよ!それに懇談あんじゃねーの?」



「終わったよ!それに仁くんのお母さんが心配してたから」



「心配?なんでだよ、今頃居なくなって喜んでじゃね?」



信じられない言葉に半信半疑になりながら、

投げやりな言葉を吐き捨てた。