河川敷でぼんやりと、川に映り込む雲の数を数えてみては、また一つ、また一つとため息が溢れていた。



僕なんて生まれてこなければ良かったのに、

なんて思ったりして……。





——15分前。





親に打《ぶ》たれて、

教室から飛び出したあの時、

廊下で夏実と鉢合わせていた。



夏実は僕の次に懇談を控えていて、

教室内に響き渡った僕の怒声に、

もちろん動揺していたはず。



走り去る僕に夏実は「待って!」と叫ぶが、僕は背中で聞くだけだった。



これからどうしようかなんて考えず、

近くにある河川敷に座り込んだ。



仲睦まじい親子が手を繋いで、

こちらへと歩いてくる。



ほのぼのする光景に、

僕はなかなか素直になれなかった。



買い物の帰りだろうか。



ビニール袋に詰め込まれた食材を片手に、母親は息子と楽しそうに会話をしていた。