人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

「だね……今まで音楽だけだったんだよね。私を救ってくれたのわ。産まれた時から決まっていた人生を励ましてくれてるみたいで」



「楽しそうに吹いてたもんね」



夏実が少しだけ微笑むのを見て、

釣られるように僕も微笑む。



「うん、吹ける喜びがあったから、今まで頑張れたし。

それに辛いことも吹き飛ばすぐらい笑顔にしてくれた。

もう皆んなと吹けないってなると寂しいけど、いつまでも落ち込んでいられないしね」



「そうだけど平気なのか?今まで音楽のために辛い勉強も頑張ってきたようなもんだろ?」



「平気じゃないけど仕方ないよ!それに、またこうやって仁くんと話せるようになったから!退屈しなくて良さそう」



夏実は溢れる笑顔を僕に見せ、

長く落ち込んだ生活に、

さよならを告げようとしていた。



まだ本調子とはいかないが、

長く続いた一本道を歩きながら、

徐々に会話が盛り上がる二人。



またこうやって二人で会話することが学校でも増えていった。