人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

「もしかして模試……それで落ち込んでたのか?」



「うん」



「でも、まだ模試、結果返って来てないけど……」



「分かるの!やった感じ、全然ダメだったから」



「そんな……絶対辞めないといけないの?」



僕はやるせない気持ちでいっぱいだった。



夏実から音楽を取り上げるなんて。


そんな辛いこと他にないだろう。



もしも神様がいるなら、

救ってあげてくれとまで思ったぐらい、

どうしようもできないこの状況を悔やんだ。



「約束したから……」



「お互い嫌なら嫌って言えたら良いのにな!自分がしたいように生きれたら、どれだけ幸せなことか」



親が子どもの人生を決めて、

子は幸せなのだろうか。



子が幸せだと感じず生きて、

親は幸せなのだろうか。



膨れ上がる思いを押し殺し、自分たちの笑って過ごす未来を想い描けないまま、二人は現実を受け入れるしかなかった。