人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

「高校生は大人のようだけど、俺はまだまだ子どもだと思うんだよね?

わがまま言ったっていいし、我慢しなくたっていいと思う!」



「そんな勇気、私には……ないです」



「え?」



「仁くんも私と一緒で親の言いなりのまま、生きてきました。たぶん、これからもそうです」



航は夏実の言葉に驚きを隠せないでいた。



兄弟として、何一つ知らなかった。



いや、

知ろうとしていなかったのかもしれない。



「え?仁も?」



「知らないんですか?

仁くん、行きたい高校にも行かしてもらえず、親が指定した学校に入学したんですよ」



「それ、ホントなの?」



初耳で初めて知ることばかり。

夏実の言葉を真摯に聞き留めていた。



「はい。親から『大卒じゃないと今のご時世ダメだ』とか言われて、保険で大学に行かせるみたいですよ。

普通、夢が出来て、それを叶えるために、専門やら大学を決めるはずなのに……

大学卒業後は、『安定している公務員にでもなればいいのよ』って勝手に将来を決めつけられてるみたいです」



夏実は感情移入するかのように、仁の気持ち、仁の立場になって、言葉に想いをのせていた。



「そうなんだ、兄貴なのに全然知らなかったよ!」



「私たち……似た者同士だから、仲良くなれたんですよね。

自分は将来、何してるんだろう?って不安になりながら毎日、葛藤していたから」



夏実は顔を上げ、

辛辣な態度をとっていた。



「仁のやつ……」