人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜



初冬——



11月に入り、僕たちは高校生になって、

二回目の進研模試を受けていた。



7月に受けた進研模試よりも内容が難しくなっていて、みんなの顔は険しくなっている。



そんなことも分からず、僕は当てずっぽに答案用紙を黒く塗りつぶしていた。



正直、ちんぷんかんぷんで全く分からない。



習ったはずなのに、初めて見るような問題ばかり。



国・数・英、合計で260分の試験時間は僕にとって、物凄く退屈なものだった。



模試が終わると、飛び跳ねる者もいれば、頭を抱える者もいた。





「おーい、お前ら!今回の模試は自分がどの立ち位置にいるのかが分かる絶好の機会だ。



結果次第じゃあ、もっと頑張らないといけない奴もでてくるだろう!



受験勉強は早いうちからしといて損やこしないから、引き続き頑張るように」



今田は騒がしくしていたクラスメイトを引き締めるように、言い聞かせて教室から出て行く。



自分の立ち位置か……。



結果が丸見えな僕は、考えるのをやめていた。



ふと横を向くと、浮かない顔をする夏実が視界に入る。



模試のことを聞いても苦笑いするだけで、夏実は模試のことについて多くは語らない。



沈みきった夏実はその後も、調子が上がらないまま……。



これがきっかけで、僕と夏実が一緒に居ることは少なくなっていった。