相撲観戦を楽しんでいると、

琴美姉ちゃんは僕たちの隣へとやってくる。



「燈也勝ったね〜。意外と強かったでしょ?」



「うん、燈也なら勝つと思ったよ!」



燈也の勝敗よりも、

僕の隣にいる夏実の方が気になるのか、

琴美姉ちゃんは夏実の方ばかり視線を向けていた。



「あれ?!もしかして彼女さん?」



「いや、そんなんじゃないから……ただの友達!」



僕はまたかと思いながら首を横に振ると、

琴美姉ちゃんは残念そうな顔をしていた。



「え〜!!そうなの〜?!仲良いからてっきり……」



僕と琴美姉ちゃんの方をキョロキョロと伺い、落ち着かない様子の夏実。



琴美姉ちゃんが誰なのか、

気になっている夏実に、

僕は琴美姉ちゃんとの関係を説明した。



「お兄ちゃんの奥さん!琴美姉ちゃんって言うんだ」



「ふふ!奥さんって!仁くんのお姉ちゃんでいいじゃない」



僕の言い方に可笑しくなったのか、

琴美姉ちゃんはクスッと笑う。



「え?そうだけど、ちゃんと説明しとかないと……」



そんなやりとりをしている最中に、

夏実は一歩前に出て、

笑顔で琴美姉ちゃんに挨拶をする。



「はじめまして、仁くんのお姉さん!私、夏実って言います」



「はじめまして。夏実ちゃんって言うんだぁ!スタイルもいいし可愛い子だねえ」



「いえ、そんな……そんなことないですよ」



「お姉ちゃん、すぐ調子乗るからあんま煽てないでよ!」



「仁くん?どういう意味?」



夏実の鋭い視線にゾッとする。



これ以上の発言は控えよう。



夏実の不気味な笑みに、

口許は少し震えていた。



「え?いや、何でもない」



「ふふ、仲良いんだね。あっそうだ!航くん、焼きそば焼いてるから後で食べてあげてね!」



「え!分かった。あとで行ってみるね」



「うん。きっと喜ぶから」



琴美姉ちゃんはそう言って、燈也たちのもとへと歩いて行った。



僕は言われた通りに、夏実を連れて、

焼きそばの屋台を探しに向かった。