僕は待ち合わせ場所であるコンビニの中で、雑誌を立ち読みながら夏実が来るまで時間を潰していた。


もう少ししたら夏実がやって来るだろう。

楽しみな反面、何故か少しだけ緊張している自分に動揺を隠しきれやしない。


自分の気を紛らすため、ファッション雑誌を意味もなく捲ったり、また戻したりと内容が頭に入ってくるわけもないので、僕は適当に目に入った旅行雑誌を手に取った。


その何となく手に取っただけの旅行雑誌のページを捲り、さらに捲っていくと、僕はずっと勘違いしていたことが判明される。


え!!!マジで?!

日本地図にあまり詳しくない僕にとって、それは衝撃的で驚愕な知らせだった。



何で……こんなところに沖縄県が!?



ずっと島根県の上にある島が沖縄県だと思っていただけあって、今正しい位置を知るとなんだか恥ずかしい。


え?!

じゃあ……天気予報で見る沖縄県は嘘だったのか!!


たまたま開いた旅行雑誌に記されている地図で、初めて九州の下に沖縄県があるのだと気付かされ僕は困惑していた。



そんな僕が羞恥に浸り、緊張していたことなんて忘れていると、ガラス張りの窓からコンコンと叩く音が聞こえてくる。



僕は窓が鳴る方へ目を向けると、夏実がこちらに向かって何やら言っていた。


おそらく口許の動きから推測し、「来たよ」と言っていたに違いないけど、そんなこと正直どうだっていい。


なんせ初めて見る夏実の服装や顔立ちに僕は時間を忘れて、その場から目を離すことができないでいたのだから。



なんか学校とは雰囲気が違って、

なんていうか透明感があって色っぽい感じ?(本当に夏実なのか?《二度見》)


僕は普段通りな感じで振る舞おうと、何も悟られないように表情を変えずコンビニから出て行った。