我が子達と一緒に遊ぶ航の姿を見て、琴美は幸せそうに微笑んでいた。



『のど、渇いた』と言われたら、琴美より早くお茶を入れて飲ましてくれる。



『おしっこついてきて〜』と言われたら、仕事で疲れているはずなのに、すぐに立ち上がりトイレまで着いて行ってあげる。



琴美は航の行動力に、いつも感心していた。



当たり前で普通なことなんだろうけど、その当たり前のことをみんながみんな、率先して行動に移すことなんてできっこない。



だけど、航は嫌な顔見せず、母親の負担を減らそうと、動ける父親でいた。



「できたよ〜」



琴美は笑顔で航達を呼び、テーブルには色取り取りのご飯が並べられていた。



琴美の手料理は言うことなしに美味しかった。



「今日ね、仁にいちゃんに遊んでもらったよ〜」



燈也は大好きなエビフライを口いっぱい頬張りながら、航に伝えた。



「そっか、良かったな〜。何して遊んでもらったんだぁ?」



「えっと〜、お絵かきとぉ〜、トランプぅ〜」



「そうかそうか、そりゃあ楽しかったな〜」



洸也にご飯を食べさせながら、航の顔は笑顔に変わっていた。



「燈也も奏也も仁にいちゃん大好きだもんね〜」



琴美も会話に混ざり、食卓はより一層明るくなる。



ぐっとお腹もせり出してきて、産まれてくる我が子が本当に待ち遠しい。



「そう言えば今日、どうだった?」



航は思い出すかのように、琴美に尋ねる。



「そうそう!はい、これ!」



琴美は持っていたエコー写真を航に手渡した。



白黒で写る小さな写真には、小さな生命の影。



「うおォ〜、手がはっきり見えてんじゃん!」



日々、お腹の中で成長する我が子に感動と喜びを覚えながら、航は琴美のお腹を優しく摩っていた。



「うん。この子、写真撮られてるのが分かってるのかな?手を振ってるみたいでしょ?」



「うん、だな。それにしても、だいぶ大きくなってんな〜」



「でしょ。次から検診が2週間に1度になるんだよ」



「そっか、じゃあ次はどんなポーズ見してくれんだろうな?楽しみだわ〜」



エコー写真に釘付けになりながら、お腹の中にいる我が子を愛おしく想う。



「だね!ピースなんかしちゃったりして、ふふ」



琴美もお腹の中で成長していく我が子を愛おしく想うように、手でお腹にいる我が子の成長を感じ取っていた。



二人は子ども達に囲まれ、とても幸せだっただろう。



幸せという感覚が濃くはっきりと感じとれた。