帰り道の田舎街をパジェロで走ると、我が家に着くのは5分もかからない。



勢いよく投げ入れるかのように車を置き、航は自宅へと入り込んだ。



家の中はいつもと同様に騒がしい。



「パパー、見てこれ!ねぇ、見て!」



燈也が興奮気味にかけ寄って来て、手に持っていたミニカーを飛ぶようにして航に見せつけて来る。



「こら、燈也!おかえりが先でしょ〜!ふふ、おかえり」



妻の琴美が航を笑顔で出迎え、いつものように航が持っていた鞄を預かると、弁当箱を取り出した。



「ただいま〜、それ、どうしたん?」



「これね、あのね、ばあばが買ってくれたの」



「へェ〜燈也よかったな〜。大事にするんだぞ」



燈也が嬉しそうにミニカーを床の上で走らせている中、下の二人が気になり始める。


きっと下の子達もミニカーを買ってもらい、さぞかしミニカーに夢中なはず。


航は少し離れた所で、奏也と洸也もミニカーを走らせている姿を見ると、思わず微笑んでしまっていた。



「奏也、洸也!帰ったぞ〜」



航はミニカーで遊んでいる二人に、近づいては頭を撫でてあげた。



二人も買ってもらったミニカーを見せたかったのだろう。



一斉に喋りだすと、航に飛びつくように、持っていたミニカーを自慢してきた。



「ぶぅぶー」



ミニカーを十二分に見せてもらい、視線が下に向くと、洸也の垂れ下がったズボンが重たそうで、随分と気になり始めて仕方がない。


航は洸也を抱き抱えると、嫌な顔せずオムツを取り替えだした。



「洸也、オムツ変えよっか?パンパンじゃがな〜」



「ごめんね〜。ご飯の支度で気づいてあげられなかった〜」



琴美が夕飯の支度でバタバタするのなんて日常茶飯事。



育児や家事で時間に追われ、自分のことは二の次状態だった。



航は家事・育児を頑張ってくれる琴美に感謝するかのように、できる限りの育児は積極的に手伝っていた。



でも、育児に参加するのは、それだけの理由だけではない。



幼い頃から両親は共働きで、あまり相手にしてもらえなかったのも影響していた。



もし結婚して子どもが産まれたなら、自分みたいに寂しい思いをさせたくない。



そういう思いが一番強かったのだろう。



帰っては子ども達とたくさん遊び、一緒に居れる時間を増やしていた。



「うん。しとくけん大丈夫!」