人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜


兄を称賛する会話ばかりが聞こえてくる。


長々と話す内容を早い段階から聞かないようにすることもできたが、最後まで聞いてしまう愚かさ。


僕は思わず溜め息を吐いていた。



どちらの兄ちゃんも積極的に町内活動に参加し、

町内の間で知らない者が居なかったはず。


航兄ちゃんなんて特に異常で、強制でもないPTAや子ども会の役員を掛け持ちするぐらい、地域や学校活動に貢献し、近所の人や保護者の方から人気者扱いだった。



ホント、航兄ちゃんは僕にないものを全て兼ね揃えている。


兄ちゃんという存在が僕の存在を小さくし、

自分の未来の絵なんて想像することができなくなってしまっていた。



そもそも何で母さん達は僕たちのことを比べたがるのだろうか?



他人と自分を比べることが出来なければ、どれだけ良いことかなんて一番自分がよく知っている。



人と自分を比べても何も良いことは起こらないわけだし、

何年間も染みついてしまったこの劣等感の塊も綺麗さっぱりなくなるわけだから。


僕は会話の内容にムッとした。