人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜




土曜、今日は定期演奏会。



少し肌寒くなった今日は海風が吹き荒れ、半袖だと堪えてしまう。


そんな寒い日に朝から叩き起こされ、僕は少しご機嫌斜め。


あーー、眠たい。


夜遅くまで起きていたせいか、僕の口から大きな欠伸が次から次へと出てくる。


今日は珍しく、母さんが土曜日休みで、僕の家には甥っ子の燈也達が集結していた。


今日は昼まで寝るという予定だったのに、朝から母さんに甥っ子の面倒を任され、気怠さが抜けない。


だけど、

今日はやけに燈也達が大人しくしていてくれているから物凄く助かっていた。


そんな燈也は黙々と宿題に取り組み、

洸也は僕の膝の上に座ってお絵描きに夢中。


奏也はというと、

ブツブツと誰かと交信するかのように独り言を唱えていた。


それに比べ、

僕に孫の世話を押し付け、どこかへ行ったきり帰ってこない母さんは何やら外で近所のおばさんとぺちゃくちゃ会話を楽しんでいる。


ホント、放ったらかしもいいとこだ。


母さん達の会話の内容が嫌でも聞こえてくる。



「航くん、消防に町内会の役員、それにPTAや子ども会の役員までしてるんでしょ〜?ホント凄いわねぇ」



「あの子は好きでやってるからねぇ!昔っから率先して皆んながやりたがらないことをやる子だったから」



「立派ねぇ!それに航くんったら、近所や学校で評判らしいじゃない!

幼稚園に奏也くん達送って、お仕事から帰ったら育児にも参加するイクメンぶりって聞いたわよ」



「イクメンだなんて!もうあの頃と違って、協力する時代になったんだから!どこも同じよ〜」



「何言ってんのよ!お隣の林さんのお子さんなんて、育児も家事も手伝わないもんだから、こないだ愛想尽かされて出て行かれたらしいのよ」



「え〜!そうなの?それは大変ね〜」



「ホント、航くんには感心しちゃうわぁ。亨くんも消防に町内会もでしょ?」



「そうよ」



「じゃあ仁くんもそのうち、亨くん達みたいに地域に貢献するんでしょうね」



「さぁ〜?あの子はどうかなぁ〜?お兄ちゃん達みたいにしっかりしてくれるといんだけど!今のままじゃあね!」



「何言ってんの!仁くんだって、これからじゃなあ〜い!」