「あのさ……」



「うん?どおした?!」



父さんたちは急に会話を遮られ、

なぜかソワソワと落ち着きのない航兄ちゃんに自然と目が向いた。



「実はさぁ……」



航兄ちゃんが何かを言いだそうとした時、僕たちは一斉に唾を飲み込んだことだろう。


僕たちは何やら良からぬことを言いだすのではないかと、身構えるのに必死だった。



「四人目ができた……」



「え?よ、四人目?」



眼鏡が曇り、モザイクをかけられた人みたいになった亨兄ちゃんは真っ先に口から白菜を吹き出す。


航兄ちゃんから出たワードにしばらく、僕たちは思考を停止させていた。



「えぇ〜嘘ォ!おめでとう、琴美ちゃん〜」



いち早く反応した母さんが両手を口に当てながら立ち上がる。


それに続いて、父さんも微笑むようにして、

琴美姉ちゃんのお腹に新しい生命《いのち》が宿ってることを祝っていた。



「ありがとう。でもね、お義母さん!お義父さん、それだけじゃないの!」



「え?どういうこと?」



母さんは琴美姉ちゃんに尋ねる。


まだ嬉しいサプライズがあるのか。

僕たちは期待に胸を躍らした。



「お腹にいるこの子、ついてなかったの!」



「何だ?ついてない?どういうことだ?」



酔った父さんは考えるのもおぼつかない。


僕や亨兄ちゃんもピンと来ず、分かっていたのは母さんだけだった。


いったい何がついてないんだ?



すると、

母さんは琴美姉ちゃんを抱くようにして、

一人だけ舞うようにして喜んでいた。



何がそんなに嬉しんだ?



僕たちがその意味の分からない光景に疑問を覚えた時、

燈也が何の羞恥も見せず、大きなお声で叫ぶ。