「できたよ〜。みんな座って食べよう」



今日の御馳走は鍋だった。


母さんが孫達を座らせていく中、飼い猫の茶々が燈也達から隠れるようにして、僕の勇姿を称えてくれている。



「いただきまぁす」



燈也達は手を合わせ、取り皿に取って貰った鍋を食べ出した。



「寒くなってきたら鍋に限るなぁ〜。遠慮せんと食べ!ほら、母さん、琴美ちゃんの分も入れてあげて」



父さんは琴美姉ちゃんを気にしながら、大好きなビールをがぶがぶと飲み干す。


あちゃ~、父さんは気づいてないだろうけど、母さん、心の中ではめっちゃ怒ってるからね!


母さんの心の声を読み解く。

もおォ~こんなにお酒飲んでからァ~


琴美姉ちゃんたちが帰ったら、ガミガミ言われることになるのだろう。


僕はそんないつもと違う雰囲気を楽しみながら、長ネギで肩をトントンしていると、琴美姉ちゃんが航兄ちゃんに目で何かを訴えかけているのに気づく。


なんだろ?

航兄ちゃんは咳払いをし、盛り上がる会話を遮るように口を開いた。