「仁くん、ちょっといいー?」



夏実は今田から取るように、

僕をひと気の少ない場所へと連れ出した。



「ちょっ……どおした?」



「あのね……私、救命士になろうと思う」



夏実は力強く僕に伝えた。



「あれ?!演奏家は諦めたの?」



「諦めたっていうか……救える命を救いたいから!」



僕は夏実の夢が変わったのは、航兄ちゃんが関わっていると察した。



夏実も航兄ちゃんが死んで、

酷く落ち込んでいたから。