あれから……十数年経ち、

航兄ちゃんは歳を取らないけど、

僕は航兄ちゃんより歳を越していた。



命日には毎年、

航兄ちゃんが眠るお墓に訪れている。



お墓には航兄ちゃんが吸っていたタバコに、大好きだったブラックコーヒーとビールがお供えられていた。



航兄ちゃん、

あんまり来れなくてごめんね。



僕は元気にやってるよ!



僕は御線香をあげ、深くお祈りをする。



「ねぇ、ママ?誰が眠ってるのぉ?」



「パパのお兄ちゃんだって」



連れてきた僕の娘と妻が後ろで話をしていた。



航兄ちゃん?

僕は航兄ちゃんに少しでも近づけたかな?



僕は空を見上げた。



「あぁ、見て見て!虹だよぉ」



娘が大きく口を開けて、

虹が見れたのを喜んでいる。



虹……



そうだ。



航兄ちゃんが残した言葉。



人生は小さな幸せの積み重ね。



小さな幸せに感謝すれば、



華やかで綺麗な虹色に人生が染まる!





航兄ちゃんが残してくれた、背中を押してくれた言葉を胸に、僕の人生はこれからも続いていく————