人生は虹色〜兄が僕に残した言葉〜

もうすぐ産まれてくる赤ん坊は最初、かかりつけの産婦人科医院で出産する予定だったけど、無理言って航兄ちゃんが入院しているこの病院で出産することになっていた。



琴美姉ちゃんの精神面を気にしていたかかりつけ医も離れ離れにならないように、考慮してくれたみたいだ。



予定日まで残りわずかとなった日、先生から残酷な知らせを聞く。



「先程、MRIで脳の検査をしたところ、低酸素脳症だと判明しました。残念ですが……意識が戻る事はほぼ無いでしょう」



家族皆んなの前で、先生はそう言った。



神様は時に残酷で、救いの手を差し伸べてくれないのだと思った。



それに、神様は乗り越えない壁を絶対にあたえないと聞いたことがあるけれど、そんなの嘘だとも思った。



何もかも崩れ去る迷信に、

希望の明かりは遠のくばかり。



これ以上、

家族を泣かさないでくれ、

僕はそう強く願った。