しばらくしたら、亨兄ちゃんが来た。



急いで燈也たちも乗せ、航兄ちゃんのいる病院へと車を走らせる。



今、僕にできること……。



両手で願いを込め、航兄ちゃんの生命力を信じることぐらい。



そんな僕の無力さに少しだけ苛立ちを覚え、何もしてやれないこの時間と何もしてやれない自分を責め続けた。



そんな不安と恐怖で震える僕を見ては、亨兄ちゃんは重たい口を開らく。



「仁、心配いらねぇよ!」



「え?」



「死なねぇから、絶対!あいつが期待を裏切ることはしねぇだろ?だから、死んだりしない。航はそういう奴だから……」



僕をこれ以上、不安な気持ちにさせまいと亨兄ちゃんは気遣ってくれた。



自分だって本当は不安で仕方ないのに、こんな時まで兄貴ヅラしやがって。


兄ちゃんはどんな状況でも兄ちゃんだなって思った。




「あ……そうだね」