「へぇ。お前結構ちゃんと作品見てるんだな」



「え?」




見ると俊介くんは感心したような顔つきになっている。




「彩花は主人公を際立たせるためのキャラだから、みんなあまり目を向けない。だけどお前は違うんだな」



「だって……」




だって、彩花が好きな人を追いかけていくあのシーンは、桜の花びら一枚一枚が丁寧に描かれていてとてもキレイだったから。

そう思っても、喉からは何も言葉が出てこなかった。

俊介くんの描く絵が大好きで、それで好きになったなんてまるで告白みたいで恥ずかしいし。