雅はな、ゆるふわの華奢な外見に反して、毒舌なんだよ。めちゃくちゃ厳しいんだ。ま、そこも含めて俺は愛してるんだけどな。
 特に結衣子との時間を邪魔したら、何を言われるかわからない。

「ま、1日くらい悩め。それに、お前、丸腰で行く気か? それだけ待たせて、手ぶらか? エンゲージリングとまで行かなくても、せめてペアリングくらい用意しろ。食べ終わったらついて行ってやるから」
「あ、そ、そうだな。うん。聖、ありがとうな……」

 コイツ、涙目になってやがる。
 手のかかる弟だが、素直なところは可愛いもんだ。

「あー、それから、少なく見積もっても、結衣子を狙ってる男が2人いる。どっちにも『彼氏はいない』って言ってたみたいだから、今週金曜日の納涼ビアガーデンの時、多分あいつら動くぞ。やっぱり虫除けが必要だな」
「は? なんだよそれ! 聖がいながら何やってんだよ! 潰せよ!」

 ……前言撤回再び。口の悪い弟だ……。