「でもほんと、お前ら程、卒業してからも頻繁に顔見る生徒は珍しいよ」

「えーなに?嬉しいって話?」

「紗南も先生に会えてうれしいよっ」


綾羽と紗南に茶化されながらも、先生は否定することなく頷いた。


「立花が愛されているからだなー」

「えー?あはは、まあね?」


急にふられた私は曖昧に笑ってみせた。


私に会いに、ちょくちょく顔を出す4人。

入学当初から私達の様子を見ているから、先生は嬉しそうだった。


私の病気の事も、入院中の事も、全てを知っている先生。


担任じゃなくなった今も、

体調の事はもちろん、同級生だった皆が先に卒業してしまった私の日常生活まで、いろんな面で気にかけてくれていて、頼りになる先生なのだ。


「あ、やばいそろそろ行かないと間に合わないわ」


綾羽がそう言って、先生にお辞儀をする。


「じゃあね、先生。また会いに来るからね~」


紗南も綾羽の動きを合図に運転席の扉を開き、挨拶をしてから乗り込んだ。


「先生、さよならー!」

「おう、気をつけろよー」


私も後部座席に乗り込むと、先生は、そう言って大きく手を振り、車を見送ってくれた。