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週末、響と出かける日。
一緒に住んでいるんだから、待ち合わせなんて必要ないってわかってる。
でも、デートっぽくしたくて、駅前で集合することにした。
響は、どんな格好で来るだろう。
あの雰囲気に似合った、クールな格好?
意外と、可愛らしいスカートとか?
想像するだけで、どれもよかった。
待ち合わせだけでこんなにも浮き足立つのは、初めてだ。
「麗矢様」
少し離れた場所から、響の声がした。
視線を移すと、見慣れない姿の響が、そこにあった。
いつもストレートの栗色をした髪は、黒いキャップで押さえられているけど、その毛先はウェーブがかっている。
普段よりメイクをしているのか、目元がはっきりとして、唇は柔らかそう。
いろいろ想像した服装は、クールタイプだった。
でも、肩を出した服は、気に入らない。
男がこの響を見るのは、嫌だ。
『嫉妬で暴走でもしたか?』
そうだ。
俺は一回、失敗してる。
抑えろ、俺はまだ、響を独占していい立場に居ない。
「麗矢様?」
響は俺の顔を覗き込む。
他の女子ならあざといと思うのに、ただ可愛いとしか思えなかった。
それにしても、息を吐くように、女の子の容姿を褒めてきたのに、役に立つ気配がない。
「……今日は、敬語も“様”も禁止ね」
俺は、そんなことしか言えなかった。



