「うん,様になってる」



仕事のメイドと聞くと,真っ先におさげのイメージがやってきた。

流石に両肩からみつあみを流すその髪型は自分には違うかなと思ったため,片側で全ての髪をまとめてみつあみにした。

頭のヒラヒラだけは,着けなくちゃいけないのかなと恥ずかしくなる。



「早かったね」



お待たせしてすみません。

その言葉を封じるように優しくかけられた言葉に,私も会釈で返した。



「どうだい? 気に入って貰えたかな」

「はい。コスプレみたいで楽しいです」



いつかしてみたいと思ってた。

でもきっとメイド服に手を伸ばすことは無かったから,とてもいい機会だと思う。


「ははっ,そうか,コスプレか喜んで貰えてよかったよ」



話を聞くに,これは来るかも知らない私のためにわざわざ取り寄せられたものなんだろう。

大事にしなければ,と強く思った。

私が着替えている間に用意されたのか,契約書を見せられて。

口頭での説明を聞いたあと,私は出された契約書にサインをする。

それも終わると,少し疲れたように息を吐き出す旦那様。



「この後,時間があるようなら是非茉悧にあっていってやってくれ。晴臣くんに案内を頼むから」