***

「あ、柚季さんー」

しばらく雨とお話していたら柚季が帰ってきた。

「ただいま。はい。どうぞ」

そう言って柚季はビニール袋の中からラムネを2つ取り出して私と雨に渡した。

ラムネ……!!

受け取った瞬間心が踊るように高鳴った。

「ありがとうございます……!」
「ありがとうございます……!」

私と雨の声がピタリ、と重なる。

「あれ?澪奈ちゃんもラムネ好きなんですか?」

「はい、雨も好きなんですね」

「あはは、で。どうだったんだよ」

会話に入るように横から柚季が雨に耳打ちした。

「あっ、ぜんっぜん大丈夫でした!別に嫌われてなんていませんでしたよー」

「そうか」

コソコソしてる2人の声はこっちまでは聞こえてこない……。

何話してんだろう……男同士のやつかな?

「じゃあ僕帰りますね!」

「あぁ、」

「じゃあ、澪奈ちゃん。バイバイー」

頭に手をポンッ、と置かれよしよしされる。

「ばいばい、です」

肩をすくながら手を振ると柚季が口元をムスッとして雨を睨みつけた。そして手を振る私の手を掴んでグイッ、と自分の方に引き寄せる。

「?」

その様子に雨は何かを察したのか、困ったようにニヤついた。