なぜか、溺愛される1日を繰り返しています。

何度も何度もプロポーズを受けて、その数だけOKして、それなのに全然前に進むことができない。
この毎日に一体なんの意味があるの?

この日が永遠に続けばいいなんて、そんな願い聞き届ける必要なんてなかったのに。


「俺と、結婚してください!」


達也の決死のプロポーズも、もう由佳の心には響かなかった。
それよりも、これからまた達也とふたりで車に乗り込んで1時間半かけて帰宅することを考えて、うんざりしてしまう。

なかなか返事をしない由佳に達也が恐る恐る目を開ける。
そこに立っていたのは仁王さんのように険しい表情をした由佳で、さすがにたじろいだ。

達也は自分がなにかしてしまっただろうかと、頭の中で今日1日の出来事を振り返る。
小さな失敗はあったかもしれないけれど、大きくは成功したはずだ。

ディナーも美味しかったし、ここの雰囲気だって悪くない。
それなのに目の前にいる彼女は仏頂面をしている。

焦ってどうすればいいかわからなくなった達也の前で、由佳は昼間のことを思い出していた。