課長のケーキは甘い包囲網


「は?お兄さんが来た?」

 マンションに戻るとすみれはケーキを食べながらお茶をしていた。

「そうなんです。電話が来てすでにアパートの前で待っているって言われて……」

「突然来たのか?」

 すみれは俺をちろりと見た。

「昨日の夜にメールをくれたみたいだったんです。でも、見ることが出来なかったから……」

 つまり、俺が彼女を可愛がっている間にメールが来て返信できなかったんだな。それで俺のことを責めるような目で見てんのか?

「それはしょうがないだろうな。で?もう帰ったのか?」

「用事を済ませて夕方の新幹線に乗ると言ってましたので……あ、そうだ。冷蔵庫の中に兄が持ってきた食材があって。こっちに持ってきました」