課長のケーキは甘い包囲網


 相手のホテルの御曹司というのは実は高校時代の委員会の先輩。

 親がその話をし出したのは委員会で一緒だったことと、相手が何故か知らないが結構乗り気だったことが原因にある。

 優しい人であんまり自分から何かするタイプではなかった。将来支配人でこの人大丈夫だろうかと思うくらいだった。

「ただの先輩なんだけど……もうあれから大分経つし、先輩も誰か彼女さんがいるでしょう?」

「あの見た目でいると思うか?」

 お兄ちゃん、ハッキリ言いすぎる。

「お前もウブだし、狙われてた可能性はあるような気がしてる。お前笑うと可愛いからな。えくぼが出来て、わが妹ながらひいき目抜きで可愛い。俺の友達もお前のこと笑顔が可愛いって言ってたからな」

「……あ、ありがと」

「だから、絶対お前がいるから別に女捜さなくてもいいって思ってるんじゃないか、あいつ。親父がその話をまだしているって事は向こうと通じてるんだよ」

「お断りするよ。今度帰ったらお断りする!」