紗梛が東宮の図らいで離宮へ入り警備も全て万全だと報告を受けたので東宮と一緒に離宮へと向かった。離宮に着くというところで黙っていた東宮から話しかけられる。


「執務室で話したいことがあるからよってもいい?」

「……仕方ないな」


 執務室に入ると、何のようか問えば東宮から「士貴はただ、『生まれ変わり』だからあの娘を娶るのだと思っていたよ。だけど、とても優秀な娘ではないか……父も母の反応が良かった」と言われ嬉しくなった。

 だけど、紗梛の魅力に皆が気づき始めてしまうと内心は焦り始めていた。


「早う婚姻をしなくては誰かに取られてしまうかもしれんな。士貴よ、気をつけなさい。私も気に入ってしまったからなぁ」

「なっ……それはやめてくれ。沙梛は俺のだと決まっている」

「ははっ、士貴にもそんな感情持っていたんだなぁ」

「……俺は、彼女一筋ですので」

「そうかそうか」


 その後、執務室から出て俺は沙梛のいる東宮の離宮へと戻った。