お巡りさんな彼と、その弟は、彼女を(密かに)溺愛する

「柴犬がお好きなんですか? でも漢字が、」

「犬種ではありません。私の名前です」

「え⁉」


しばけん⁉ 本当に⁉


っていうか、どうして私に、自分の名前を書いた紙を渡すの⁉

すると、柴犬……じゃなくて柴さんは「サインです」と言った。


「さ、サイン?」


なんで……!?


意味がわからなくて、頭を抱える私。柴さんのサインが書かれたメモが、私の汗でふにゃふにゃになって来た。

ほぼカオスになった、この現場。

そこへ救いの手を伸ばしたのは、勇運くんだった。


「柴さん。サインって、柴さんのサインじゃないから」

「おや、君は」


柴さんは、勇運くんがいる事に今さら気づいたみたい。メガネをカチャリと動かし、私からメモを取り上げた。