「ヴィクター・ホワイトウェイ。おれは、きみの国王ではない。だから、陛下などと呼ぶな」

 彼は、威厳を込めてそう命じた。

『愛くるしいきみよ、どうか陛下などと呼ばないでくれ。きみとは、ぜひ名で呼び合いたい。恋人、婚約者、夫婦の間柄のように』

 彼の真実の声はそう切望しているけれど、いくらなんでも親し気に名前で呼ぶわけにはいかない。

「では、ヴィクター様はいかがでしょうか?」
「勝手にしろ」

 彼は、手を振ってわたしを追い払う仕草をした。