もともと、ネイサン自身が大階段の踊り場で宣言した通り、わたしたちの間には愛どころか友情、それどころか顔見知り程度の付き合いさえなかったのだから。

 幼いときの初対面の瞬間からである。

 彼は、初対面で言った。

『能力があろうとなかろうと、おれの前ではヘラヘラ笑うだけの無能者でいろ。いいな』

 そのようなことを。

 だから、わたしは彼が苦手だった。

 それは、大人になったいまでも続いている。

 というわけで、彼が義姉と浮気をしようが遊ぼうが関係ない。わたしはわたしで、彼が命じた通りに公でもそうでないときもひたすらヘラヘラ笑うだけだった。

 しかし、それだけではすまなかった。