「ほら、レディ。顔を上げて、陛下を見て下さい。ごつくてむさ苦しいですがね」

 パーシーにささやかれたけれど、そんなこと出来そうにない。

「生贄だろうが政略結婚だろうが関係ない。おれには妻など必要ない。レディなど、側にいるだけで鬱陶しい。さっさと送り返せ」

 消えてしまいそうな状態の中、国王の非情かつ無情な言葉が突き刺さる。

(そうよね。なにもわたしなんか妻にしなくても、この国には大勢の素敵なレディがいるもの)

 どこか他人事のように納得してしまう。