「陛下、とにかく落ち着いて下さい。話しましたよね? 彼女は、ウォーターズ帝国軍がわが国に迷い込んだお詫びだということなのです。皇帝は『特殊な力を持つ生贄だ。受け取って煮るなり焼くなりしてくれ』と言っていますが。ようするに政略結婚ということになるでしょう?」
「パーシー、バカにするのもほどがあるだろう? おれがここにやって来たから、慌てたに違いない。ウォーターズ帝国軍がわが国に侵入したのも、迷ったとか誤ってではない。おれたちがなにも言わないことをいいことに、あわよくばルビーを奪ってしまおうということだろう」
「ハッハハ。陛下の言う通りでしょうね。連中は、なにせルビー鉱山の近くをウロウロしていたのですから。しかも、帝国軍はルビーの鑑定士と商人まで連れていたそうです」
「笑いごとか、チャーリー?」
「パーシー、そんなに怒るなよ。おれにあたっても仕方がないだろう?」