「レディ、レディ」

 呼ばれたような気がした。

 ハッと目が覚めた。

 座席の上に横になって眠ってしまっていた。

「レディ、到着しましたよ」

 パーシーが窓から覗き込んで知らせてくれた。

「サエ、です。サエ・アンダーソンです」

 先程、彼らのお茶目ないたずらのことで自分が名乗っていなかったことに気がついた。

「いい名ですね」

 パーシーは、にんまり笑った。

 馬車が停車した。