兵士たちは、玉座の階段下で二人を跪かせた。屈強な兵士たちは、彼らの後頭部をおさえて顔を上げることが出来ないようにしている。

「貴様らがウォーターズ帝国の皇帝と皇妃か? ああ、答えなくていい。言ってみただけだ。おれも忙しいのでな。手短にすませよう。二度に渡るウォーターズ帝国の侵略行為、さすがに許すはずがないよな?」
「いや、侵略ではない……」

 ほとんどうつ伏せ状態の元夫の声は、みっともないほど震えていた。

 その声をきいた瞬間、またしても「ざまぁみろ」と意地悪なことを思ってしまった。