その瞬間、右側のビアトリスが間を詰めるとともに振りかざした大剣を振り下ろしてきた。

「カチン」

 金属と金属の当たる甲高い音が耳を襲い、火花が散ったのが見えた。

「キャアアアアッ」

 悲鳴とともに、剣が弾き飛ばされた。なんと、剣はそれを握る者といっしょに飛んでいってしまった。

 それは、わたしではない。ビアトリスである。

 彼女がふっ飛んでいくのを見届けるまでもなく、すでにアイリーンが迫っている。彼女は、大剣の切っ先をわたしの心臓のある辺りにめがけて突き出してきた。