ありがたいことに、兵士たちのほとんどが国境に出撃している。残っているのは、この駐屯地の守備を命じられたいくつかの小隊や輜重隊の兵士たちである。彼らは、当然のことながらわたしたちの勝負を呑気に観戦するわけはない。

 つまり、わたしたちの勝負を観戦者はいない。

 観戦する人がいないというだけで、ずいぶんと気がラクになった。

「つまらないわね」
「ええ。やはり、いっぱいの人たちに応援してもらった方がヤル気が出るわよね」

 双子の姉妹たちは、静寂満ちる稽古場内を見渡して溜息をついている。