レイピアを握りしめ、いっぱしのレディ剣士ぶって振り回してみた。なんとかさまになっている。と、自分では思う。

「こんな細身の剣でも殺傷力はあるの。だけど、それは腕がいい場合ね。正直、ド素人のあなたでは殺傷力はない。せいぜい相手の薄皮一枚を傷つけるくらいかしら。それでも、相手を怯ませることは出来るかもしれない」

 彼女の説明にほんの少しだけホッとした。

 いくら勝負だといっても、相手を傷つけたくない。ましてや致命傷を負わせることなんて考えられない。

 もっとも、わたしがどうあがいても技術的に相手に傷を負わせることなんて出来ないけれど。だから、わたしの懸念は杞憂にすぎない。

 それでも精神的にラクになった。