つまり、ルビーが出てきたと。しかも、いま産出している鉱山より質が良くて豊富にあるかもしれないと。

「今年は例年になく気候がよく、葡萄だけでなく様々な農作物が豊作だということです。ルビーのことも含め、もしかしたらレディの力のお蔭かもしれませんね」

 チャーリーは、わたしにウインクをした。

「残念ですが、わたしにそのような力はありません。ルビーの件は、たまたまです」

 笑うしかない。

「いいえ、サエ。案外、あなたはそういう力を持っているのかもよ。自分で気がついていないだけでね」

 寝台の上で胡坐をかいているキャロルは、そう言ってから大きく伸びをした。

 その言葉を真に受けたわけではない。

 部屋の灯りを消して寝台の上で横になってから、頭と心に彼女の言葉が何度も現れては消え、消えては現れた。