「あの、ヴィクター様。どうぞ、お入り下さい」

 体ごと脇へ移動し、彼が入室出来るようにした。

「入らぬ。ここでいい」

 が、彼はあいかわらずわたしに対して不機嫌プラス不愛想を演じている。