キャロルの無茶苦茶な、というよりかは無謀きわまりない勝負に驚いたのはヴィクターも同様である。

 彼はだれかからきいたのか、わたしの部屋に飛んで来た。

 ちょうど就寝する前で、キャロルのきれいな金髪を梳かしているタイミングだった。

 じつは、キャロルはわたしの部屋で寝泊まりしている。

 客間を準備しているのに、頑なにわたしといっしょの部屋でいいと言い張った。仕方がいない。軍の官舎で使っているのと同じ質素だけど機能重視の寝台を運び込み、彼女は簡易寝台で眠っている。