「あの、なにか?」

 彼女たちが出て行くと、ヴィクターたちがこちらを見ていることに気がついた。

「いや、なんでもない。きみを見たら不都合でもあるのか?」
「いいえ、ヴィクター様。そのようなことはけっしてありません」

 不機嫌そうなヴィクターに慌てて言った。

『うわああああっ! カッコよかった。いまの彼女の啖呵、最高にクールだった。ギャップがすごすぎて身震いしてしまった。もっとこのギャップを見てみたい。姉上に鍛えてもらったら、ギャップだらけになるかもしれないぞ』

 いつものように彼の「真実の声」が流れ込んでくる。